日本国憲法無効論はデマです1

日本国憲法は実は無効で大日本帝国憲法が今でも効力を有するという

ぶっ飛んだ説がネットで多数見られる。

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なぜ著者はこのことを記事にするのかと言うとはっきり言って破綻しているからだ。

憲法の世界で無効なんて有り得ない。 

憲法とは国の最高法規である。

 

よく巷で見られるのは、ハーグ陸戦法規43条に反すること。

 

ハーグ陸戦法規43条 「他国を占領したものはその国の法律を順守して統治しなければならない。」 

 

陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則第43条 現代語訳】

『国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は絶対的の支障なき限り占領地の現行法律を尊重して、成るべく公共の秩序及び生活を回復確保するため施し得べき一切の手段を尽くすべき。』

とある

これは戦時国際法であり、遅く見積もっても第二次世界大戦が終了したのは昭和20年(皇紀2605年)9月2日である。確かにソ連との交戦は9月4日まで続いていた。この段階では憲法草案は作成されなかった。昭和20年9月3日以降米国に保障占領という見解である。つまり単独で米国に占領されたことになっている。そして連合国と休戦状態になり昭和27年4月28日に終戦を向かえる。

 

 確かに日本と同じ敗戦国オーストリア第二次世界大戦中は二つに分かれたフランスのように戦後憲法を破棄した事例はあるが、無効にしたのではない。(Wikipedia調べ)

1.オーストリア 昭和30年まではドイツと同じく英米仏蘇の連合国軍に分断統治された。占領後憲法を破棄した。一度元の共和制の合衆国憲法に戻してから(昭和4年制定)改正を行った。

2.フランス ナチスの傀儡政権ヴィシー政府のペタン政権が憲法を制定した。1944年政権崩壊後、臨時政府樹立したシャルル・ドゴールはこれを破棄した。それまでフランスは第三共和制まで続いている。しかし、戦前から存在した第三共和制を復古したのではなく昭和21年10月に第四共和制に移行した。

 

この2か国の例は法的手続きを経ずに破棄したのである。

 破棄となると手続きにも違法性があるが、憲法最高法規である以上憲法をしばる法律はないと考えられる。

また、大日本帝国憲法下では条約は憲法より下か同等であり憲法を超えることはなかった。条約を国内で批准するには議会の承認がいる。

 

次に「特別法は一般法を破る」という大原則がある。

法の世界には例外がある。先ほど述べたオーストリアの例がそれにあたるであろう。

仮にハーグ陸戦協定が適用されても、昭和26年9月11日のサンフランシスコ平和条約までは特別法なのである。ポツダム宣言や休戦協定やサンフランシスコ条約がそれにあたる。

ハーグ陸戦法規よりもポツダム宣言や降伏文書が優先され、結果的に日本国憲法大日本帝国憲法を破る結果となり日本国憲法は有効である。休戦ならば、いずれ日米戦争は再開されることになる。終戦なら講和条約を締結して戦争を終わらせることである。

法学部の学生なら基本的に知っていることだ。

続く